« 春休み | トップページ | 全ての記事 | 憂う年 »

古典チラリズム

お忙しい中読書人ブログを見てくださり、ありがとうございます。
早稲田の中村です。

今回は現在読書途中のドストエフスキー『白痴』
について書きたいと思います。

望月哲男先生(『アンナ・カレーニナ』の新訳もやってらっしゃいます)の新訳、印象的な木村タカヒロの表紙ということで、
装丁も中身もバツグン、とても親しみやすい『白痴』新訳です!
親しみやすいといっても、買ったのは去年の5月だった気がしますよ。
いやいや......ほら、古典は他に短編集や現代のものと併読するといいのです。
そうすると当然読書のスピードも亀の歩みになるわけです。
しかも半分しか読んでない1巻を去年の8月に旅行中の電車に置き忘れたりしてたので、
そりゃ今2巻の終盤でも何の不思議もないわけです。(まだ読み終わっていない本に対して何か言うことをお許しください)
1巻を買いなおすのに相当な勢いが必要だったわけです。

さて、肝心の『白痴』ハイライトですが、
やはり最大の名場面はムィシキン公爵とロゴージンが十字架を交換する第二部でしょう!
ムィシキン公爵とロゴージンは超絶ビジン、咲き誇るバラも裸足で逃げ出すような女性、
ナスターシャ・フィリッポヴナを取り合う険悪な仲です。
もっと正確に言えば公爵はあまり好戦的ではなく、ロゴージンだけが荒々しいのですが......。

ロゴージンとナスターシャ・フィリッポヴナの破局を知った公爵は、
ペテルブルクのロゴージンの家に訪れ、色々なことを二人で話します......たとえば二人の関係のこと......
ナスターシャ・フィリッポヴナのこと......信仰のこと......。

恋敵であるロゴージンの家にわざわざ出向き、長話をしちゃう公爵にちょっと違和感を覚える方もいらっしゃるでしょうが、
彼はそういう人なんです!そういう人ですからいいんですよ!
見下すためやあざ笑いに行ったわけじゃないんです!彼はそんな人じゃない!
心配して様子を見に来たわけです。でもロゴージンには怒られちゃうんだけど。


「ぼくは君を落ち着かせに来たんだよ、君はぼくにとって大切な人だからね。
ぼくは君が大好きだ、パルフョーン。でもいまはもう失礼して、二度と来ないから。さようなら」


公爵ううううぅうううう!!!!!!

なんと切なげなセリフ!彼の澄んだ瞳が容易に想像できる!(パルフョーンはロゴージンの名前です。)
直球すぎるような気がしますが、公爵はそういう人ですし、ロシア文学ではよくあることです。

これに心を開いたロゴージンが、さらに胸打たれるのは公爵の信仰への姿勢です。
公爵が、ある日汚い身なりをした兵隊から、実際は錫製と知りながら銀の十字架を買い取った話をすると、
ロゴージンは唐突に十字架の交換を申し出、そして老いて体の不自由な母のいる部屋へ公爵を案内するのです。

十字架の交換......!義兄弟の契りです......!
ロゴージンの金の十字架が乱暴に投げるように公爵に渡されるとなおいいですね!
はあ、二人とも今さっきまで身につけていた十字架を交換するなんて......
金属の熱伝導によるヌクモリティーが......それと、粗野なロゴージンが見せる、母親への優しい顔......。

「いやあ、義兄弟って、本当にいいもんですね~。」(水野晴郎)

はい、以上些末なことですが、『白痴』ハイライトでした。
ロシア文学ではよくあることです。


さて、仕事を忘れてはならないですね!
推薦文投票の締め切りは3月1日です。
続々着ております、お待ちしております。
皆様ぜひお忘れなきようー

(中村)