人類は衰退しました

  • 『人類は衰退しました』

  • 田中ロミオ
  • 小学館ガガガ文庫
  • 600円(税込)
  • 2007年5月
  • 人類は衰退して、地球は妖精さんのものとなりました。身長10センチで3頭身、お菓子が大好きな妖精さん。主人公はその妖精さんと人との間を取り持つ調停官になり、小さくて愛くるしい彼らと接触を試みます。

真面目に「諦めて」みてはいかがでしょう?

推薦文No.2-4
東北学院大学文芸同好会

私達はあまりにも「諦める」ことに無防備です。

勝つ人間がいれば、当然負ける人間がいます。けれども私達には「負ける」という選択肢はありません。常に勝利するか。勝利の為の敗北があるだけです。「負けてもネバーギブアップ」、「敗北しても諦めるな」。一つ一つの言葉は素晴らしいのかもしれません。しかし、そんな事が通用するのは、せいぜい高校生くらいまでです。勝負の舞台というチャンスは一度巡ってくるだけでも幸運で、チャンスを得られない人だっているのです、同じ幸運に巡り合うことなんて無いといってもいいでしょう。肝心なのは「諦める」ことです。
私達大学生にとって「諦める」ということは、とてもネガティブなイメージです。確かに「諦める」という言葉には、物事を途中で投げ出したりするという意味もありますが、もう一つ、自分の限界を見定めるという大切な意味があります。人間はゲームのキャラではありません。時間をいくら費やしても結果に結びつくとは限りません。だからこそ、辛く苦しくても「諦める」という決断が必要な時があります。しかし、私達はあまりにも「諦める」ことに無防備です。自分の限界を知るということ、自分の根拠の無い可能性を消してしまうことに耐性がありません。その時どんな態度でいればいいか分かりませんし、そのテキストもありませんでした。
さて、『人類は衰退しました』は人類全体が敗北し、人類が諦めた世界が舞台となっております。しかしながら、登場するキャラクター皆、魅力的な人生を送っています。自分の限界を知った人間が、どれだけユーモラスに振舞えるのか――。自分で読んで確かめてみて下さい。「諦める」ということの魅力と必要性を。きっと人生がカッコよくなります。

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