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26歳OLが、ある日出会った行き倒れの草食系男子と、なんとなく始めた共同生活。草木を通した交流の中、ゆっくりと恋は紡がれる。しかしやがて問題も出てきて――!? 有川浩渾身の、甘々最強恋愛小説!
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」 「咬みません。躾のできたよい子です」 インパクトのあるせりふと、ちょっと変わった題名。ラブコメ大御所の「有川浩」さんとなれば、期待は膨らむばかりです。 河野さやか 26歳 日下部樹 26歳 恋に恋する歳ではないけれど、やっぱり夢見たいお年頃。それでも、いくつかの恋をして現実も見えるようになってきて、少し恋をする事が臆病になってしまった。そんな二人が紡ぐ御伽噺。だけど、大切にそっとしまっておきたいような内容です。 各章毎に、野草の名前が付き、それに関わるエピソードという形を取りながら、二人の恋が進んでいきます。出てくるのは、道端や公園でよく見た事があるけれど、名前までは知らない様なものばかり。 さやかと樹の出会いは衝撃的だけれど、それからの日々は、本当に、道端の草の様に、淡々と、日々の暮らしが、丁寧にゆったりと綴られていきます。 章に付けられた野草を二人で探し、それを調理して味わう場面がたくさん出てきます。簡単な調理法なのに、その美味しそうな事。 今まで、ただの雑草としか思えなかった草が、立派に食材として、その名前と共に、しっかりと頭に刻みつけられます。 「雑草という草はない。全ての草に名前がある」という昭和天皇の言葉が始めに出てきますが、その言葉通り、雑草と分類されてしまうような草も、一つずつ固有の名前があり、それが美味しく食べられる大切な草だと気付かされる。それと同様に、雑草のように、特別な人ではなく、平凡に生きている人にも、それぞれ大切な名前があって、大切な人がいて、何気ない日常ですら、かけがえのない人生なのだと気付かされます。 けれど、そこはさすがに有川浩さん。 非常に読み易く、平凡な日常のはずなのにジェットコースターのように、目まぐるしく展開していきます。二人の恋の行方にハラハラ、ドキドキしながら思わず涙ぐんだり。やっぱり生きているって素敵な事だと思い知らされます。 女の恋は上書き式、男の恋は保存式。この言葉は、ああそうかと妙に納得して、その通りだと改めて共感します。さやかは、完全に樹に上書きされていきますが、樹は、自分の過去や仕事が全て保存されているため、さやかの入る場所はわずかしかありません。それが徐々に、大きな位置を占めてくる様子にイライラしたり、ハラハラしたり。 この本は、さやかの視点で描かれているけれど、樹視点で見てみても、きっと面白いことでしょう。 本に載っているノビルのパスタやヨモギのチヂミが食べたくなります。雑草なんて草はない。雑草のような人生なんて無いんだとほっこりした暖かい気持ちで、今まで生きてきたうちに少しずつ溜まった、人生の澱のようなものが少しずつ解けていくような気持ちになるでしょう。 これを読んだら、絶対に、さやかが買った写真がいっぱい載った植物図鑑と、シャベルを持って、野草を狩りに散歩に出たくなります。
図書館にない植物図鑑
推薦文No.3-5東京工業大学SF研究会リリカ団
「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」
「咬みません。躾のできたよい子です」
インパクトのあるせりふと、ちょっと変わった題名。ラブコメ大御所の「有川浩」さんとなれば、期待は膨らむばかりです。
河野さやか 26歳 日下部樹 26歳
恋に恋する歳ではないけれど、やっぱり夢見たいお年頃。それでも、いくつかの恋をして現実も見えるようになってきて、少し恋をする事が臆病になってしまった。そんな二人が紡ぐ御伽噺。だけど、大切にそっとしまっておきたいような内容です。
各章毎に、野草の名前が付き、それに関わるエピソードという形を取りながら、二人の恋が進んでいきます。出てくるのは、道端や公園でよく見た事があるけれど、名前までは知らない様なものばかり。
さやかと樹の出会いは衝撃的だけれど、それからの日々は、本当に、道端の草の様に、淡々と、日々の暮らしが、丁寧にゆったりと綴られていきます。
章に付けられた野草を二人で探し、それを調理して味わう場面がたくさん出てきます。簡単な調理法なのに、その美味しそうな事。
今まで、ただの雑草としか思えなかった草が、立派に食材として、その名前と共に、しっかりと頭に刻みつけられます。
「雑草という草はない。全ての草に名前がある」という昭和天皇の言葉が始めに出てきますが、その言葉通り、雑草と分類されてしまうような草も、一つずつ固有の名前があり、それが美味しく食べられる大切な草だと気付かされる。それと同様に、雑草のように、特別な人ではなく、平凡に生きている人にも、それぞれ大切な名前があって、大切な人がいて、何気ない日常ですら、かけがえのない人生なのだと気付かされます。
けれど、そこはさすがに有川浩さん。
非常に読み易く、平凡な日常のはずなのにジェットコースターのように、目まぐるしく展開していきます。二人の恋の行方にハラハラ、ドキドキしながら思わず涙ぐんだり。やっぱり生きているって素敵な事だと思い知らされます。
女の恋は上書き式、男の恋は保存式。この言葉は、ああそうかと妙に納得して、その通りだと改めて共感します。さやかは、完全に樹に上書きされていきますが、樹は、自分の過去や仕事が全て保存されているため、さやかの入る場所はわずかしかありません。それが徐々に、大きな位置を占めてくる様子にイライラしたり、ハラハラしたり。
この本は、さやかの視点で描かれているけれど、樹視点で見てみても、きっと面白いことでしょう。
本に載っているノビルのパスタやヨモギのチヂミが食べたくなります。雑草なんて草はない。雑草のような人生なんて無いんだとほっこりした暖かい気持ちで、今まで生きてきたうちに少しずつ溜まった、人生の澱のようなものが少しずつ解けていくような気持ちになるでしょう。
これを読んだら、絶対に、さやかが買った写真がいっぱい載った植物図鑑と、シャベルを持って、野草を狩りに散歩に出たくなります。