マツリカ・マジョルカ

  • 『マツリカ・マジョルカ』

  • 相沢沙呼
  • 角川書店
  • 1,575円(税込)
  • 2012年2月
  • 柴山祐希、高校1年生。冴えない学園生活を送っていたが、廃墟に住む妖艶な美少女マツリカと出会う。彼女に翻弄されつつ、学園の謎を調査することに――。

「マツリカ・マジョルカ」を読んで

推薦文No.18-1
白百合女子大学推理小説研究会

 推理小説には謎を解く探偵役とそれを補佐する相棒の2人がセットになっている。例えば世界一有名と言われる名探偵と元軍医、鬼刑事と女子大生、令嬢刑事と毒舌執事...と実に多く存在する。もちろん、探偵とパートナーの2人だけではなく、グループで事件を解いていくものもいる。相沢沙呼のミステリー、「マツリカ・マジョルカ」では、浮世離れした美少女、マツリカが探偵となり、高校生活にうまくなじめない高校生男子の柴山祐希が彼女のパートナーとしてコンビを組み、学校の怪事件を推理していく。
 私がぜひとも注目してほしい点は二つある。一つ目はこの小説の登場人物たち。二つ目は事件である。
 一つ目の注目ポイントである、登場人物たちについて説明していきたい。まずはこの小説の探偵役である、マツリカである。この彼女は私が過去に読んできた小説の探偵たちでも類を見ないミステリアスで、はっきり言ってしまえば変人キャラクターである。本名や学年、家族構成等は全くの不明で、口調は鋭く、人の扱いが荒く、廃墟に住みつき、その廃墟から見える高校を一日中双眼鏡で観察し続ける、という美少女なのだ。しかし、ただきつい性格というわけではなく、所々優しい一面も見せる、まさに今巷に言われる、ツンデレキャラであるように思われる。そして、そのマツリカに「柴犬」と言うあだ名をつけられ、奴隷のごとくこき使われているのが高校生の柴山祐希である。この祐希はどちらかというと草食系男子であり、妖艶なマツリカに始終見とれては妙な妄想をしてしまうという始末である。この小説のキャラクターは私たちの身近に本当にいそうなキャラクターであり、実際にいる周りの人々に当てはめていきながら読み進めて行くのも面白い。
 それでは、二つ目の注目ポイントである、事件について話していきたい。「マツリカ・マジョルカ」は四話の短編から構想されており、その事件が学校の怪談といった類の、噂話として語られていそうな怪談めいた奇妙な事件ばかりで殺人事件といった類のものではないのである。しかしながらマツリカの推理していくその事件の結末は現代社会の学校環境に対して、何か問いのようなものを投げかけるような、どこか考えさせられるようなものになっている。
 全体として、この小説は事件内容もそうだが、登場人物にもどこか影のある、少しメランコリックなものになっているように感じる。しかしながら、リアリティ要素もあるような作品になっていると思う。

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