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【10月29日開講】いま読みなおしたい海外児童文学 ルイス・キャロルの言語世界

オンライン
2022年10月 5日更新

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ウサギを追いかけて穴に落ちた、あるいは鏡を通り抜けたアリスが冒険に飛び込んだように、ルイス・キャロルのことばの世界に飛び込んでみませんか。

『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』で知られる、イギリスの作家ルイス・キャロル。彼には、数学者や写真家などの様々な顔がありました。その生涯を知るとともに、キャロルの紡いだ独特のことばの世界や、その物語を深く読み解く講座です。
第3回の最後には、事前に募集した質問にもお答えいただきます。

講師には、大妻女子大学准教授で日本ルイス・キャロル協会理事、マザーグース学会理事の夏目康子さんをお迎えします。
この機会にぜひお申し込みください。

<開催概要>
ルイス・キャロルの言語世界~2つの『アリス』を読む~

【講 師】
夏目康子さん(大妻女子大学准教授)

【日 時】*見逃し配信あり
第1回 10月29日(土) 14:00-15:15
第2回 11月5日(土)  14:00-15:15
第3回 11月12日(土) 14:00-15:15

【参加費】
・全3回 3,000円(3回セット割)
・各 回 1,200円

【申込・詳細】


<講座について>
【第1回 多面性を持つルイス・キャロル】
作者キャロルはオックスフォード大学クライスト・チャーチの数学講師であり、生涯独身で、吃音障害があったが、子ども、特に女の子には吃音にならず話すことができ、多くの少女友達がいた。19世紀半ば、写真は新興の技術だったが、キャロルは自ら撮影、現像し、多くの少女の肖像写真や演劇風の写真を撮った。少女達と親しすぎると批判もされたが、後世、困窮する女性や恵まれない子どもたち個人や、彼らを救済する団体に毎年寄付を行っていたことが判明している。体面を重んじるヴィクトリア朝時代に生きた、吃音障害をもつ大学講師、数学者、写真家、作家、演劇愛好家、子どもの友達、弱者の味方という様々な顔を持ったキャロルの人生について考える。

【第2回 『不思議の国のアリス』のデフォルメされた大人たち】
ウサギを追いかけてウサギ穴に落ちてしまい、そこから始まるナンセンスなことが連続するアリスの冒険物語は、当時の教訓色、宗教色が強い子ども向けの読み物とは一線を画していた。むしろヴィクトリア朝的なまじめな歌をパロディにして茶化している。登場する大人や動物は皆、デフォルメされ、狂った、あるいはおかしな人物で、登場人物の中でアリスが一番まともと言っても良い。描かれたグロテスクな大人の姿は、子どもの視点から見た大人像であるのかもしれない。言葉の匠であるハンプティ・ダンプティが解説する鞄語(合成語)についても考察する。

【第3回 『鏡の国のアリス』とマザーグースとビートルズ】
自分の家の居間の鏡を通り抜けて、アリスは鏡の国へ入っていく。鏡ゆえ論理が反転し、かつチェスの原理が支配する鏡の国では、小さな川を飛び越えるたびにアリスの位が上がり、最初のポーンから最後はクイーン・アリスになる。この作品には、英国伝承童謡であるマザーグースの登場人物が何人か登場する。一方、ビートルズの歌には『鏡の国のアリス』の登場人物が顔を出す。マザーグースから『鏡の国のアリス』、ビートルズへとつながる流れをたどり、逸脱、転覆、逆転から生まれてくるものについて考察する。

<講師プロフィール>
夏目康子(なつめ・やすこ)
大妻女子大学准教授、日本ルイス・キャロル協会理事、マザーグース学会理事。
著書に『マザーグースと絵本の世界』『不思議の国のマザーグース』『ルイス・キャロルハンドブック』(共著)他。論文は「「異世界を発見する少女たちーー『となりのトトロ』『ライオンと魔女』『アリス』のうさぎ穴と物語の終わり方」「『アリス』とビートルズとマザーグースの不思議な関係」「『不思議の国のアリス』の言葉あそびの翻訳の比較」など多数。

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